22.1.16

Making the Mix Room: Sondhus Builds Private Studio for Paul Savoy of A-ha

ミックス・ルーム建造: Sondhus、a-haのポール・サヴォイのプライヴェート・スタジオを造る

2015年7月2日 ジャスティン・コレッティ

http://www.sonicscoop.com/2015/07/02/making-the-mix-room-sondhus-builds-private-studio-for-paul-savoy-of-a-ha/

(訳注:このMaking the Mix Roomというのはこのサイトのシリーズ記事のタイトルです)


前回我々がソングライター ポール・ワークター=サヴォイについて語った際、彼はソーホーの自分のスタジオで仕事をしていて、数年前、彼のメガ・プラチナ・バンドa-haの解散ツアーを終えた後でも相変わらず多作だった。

今回、彼は新しいスタジオとa-haの新しい10枚目のスタジオ・フル・アルバムでの登場となる。

サヴォイの仕事は、今、ほとんど完成しつつある。この、Soundhusのジム・ケラーが最近デザインして竣工した新しい場所で。そこにはTree AudioのRootsコンソールと究極にエレガントで機能的なミニマリズムのデザイン、木材を多用した仕上げ、そしてオープンなスペースがある。


バンド

ほとんどのアメリカ人にとって、サヴォイは、80年代にヒットしたa-ha(2曲ほど例としてあげると「テイク・オン・ミー」やジェイムズ・ボンド映画の「リヴィング・デイライツ」)のメンバーとして有名だが、実はa-haはヨーロッパではチャートから去ったことはないのだ。
サヴォイの新しいプロジェクト・スタジオのモジュラー・シンセ・システム



2000年、彼らの6枚目のアルバム『遥かなる空と大地(マイナー・アース・メジャー・スカイ)』は母国ノルウェーで1位になった。2005年、8枚目のアルバム『アナログ』は、イギリスでシルバー・ディスクに認定された。そして、近くは2009年、彼らの9枚目のアルバム『フット・オブ・ザ・マウンテン』はイギリスのチャートでトップ5入りし、ドイツではプラチナ・アルバムになった。

a-haは世界でトップ50のライヴ・アクトとも言われている。今までのところ、バンドはトータル80,000,000枚を売り上げている。この記事が出るころには、サヴォイは、a-haの海外での最新リリースとともに再びロードに出る。


ヴィジョン

私はサヴォイに彼のパーク・スロープの家の地下の新しいスタジオに何を一番求めたのかを訊ねた。

「正確に音が鳴る場所が欲しかったんだ。」彼は言った。「ずっとそれが夢だった。ボリュームを上げることが出来て、命を与えられるようなのがね。」
スタジオのワークステーションの眺め

2か所のスタジオの間、1年ほどの新しい「夢」のスタジオの建設中、彼はシンプルなレンタル・スペースで仕事をしていた。

「あれは大変だったよ。俺にとってはそうでもなくて、一緒に仕事をしていたエンジニアにとってね。あの部屋で働いていて、彼は自分の能力に対する信頼を失いかけているようだった!その場で聞いている限り、さくっとやったのにいいサウンドになったって思うんだけど、モニタリングすると、時々、悪夢みたいな音になってるんだ。」

この新しい場所は、美しい造りというだけでなく、明らかに以前のソーホーのスタジオよりも余裕がある。
サヴォイは劇的にコレクションを減らしたが、96RUは機材ラックに置くだけの価値があり、少数精鋭のシンセとペダルの小部隊は手が届く場所をキープしている

「ソーホーでは、俺達は、これ以上ないというぐらいのレベルまで色々持っていた。天井まで届くぐらい機材を積み上げてた。シンセは20台ぐらい売ったと思うよ。溢れそうだったんだ。部屋に入るともう【とんでもない】ことになってた。」

「ここをシンプルにするのは自分にとって大事なことで、歩く場所を確保するのも俺にとって大事なことだった。すべてを一掃して、まっすぐ考えられるようにしたかった。もちろん、時には、美しいヴィンテージ・シンセを売ってしまうことを後悔もしたよ。もう2度と手に入らないってわかってたからね。」

「でも、曲を書こうとすると、『もしこれを手に入れたら、きっといい曲が書けるんだろうな』っていう罠にはまりがちなんだ。昔からある例のアレね。それは、うちの妻には効いたんだ。だから自分にも効くだろうってしばらくは思っていたんだな。」彼は笑う。

それでもまだサヴォイの部屋は多くのスタジオオーナーが嫉妬するぐらい十分な機材でいっぱいだが、詰め込みすぎといった感じがしないのは明らかだ。的が絞れている。そこに座っていると、ほとんどブルックリンの素敵なレストランに居るような気さえする。飾り気なく、居心地が良く、そして同時におしゃれで洗練されてもいる。

このSondhusのジム・ケラーによるスタジオのサウンドとデザインの詳細は、以下の通り。記事の最後の高画質のフォト・ギャラリーも要チェック:


場所

NY ブルックリン パーク・スロープ


アイソレーション

コンセプトは、家の他の部屋に密接しているにも関わらず、正確に音が鳴り、アイソレート(分離)されている部屋を造るということだった。

我々は、部屋を家の他の部分からアイソレートするため、「シェル」を造ることから始めた。天井は梁からアイソレーション・クリップとCチャンネルを使って分離された。天井と壁の組み立てはシートロック(石膏ボード)とQuietGlue(訳注:粘弾性材料の登録商標)の多層構造で構成されている。

壁は、また、スタジオの内外への音の伝導を防ぐため、家の他の部分から分離された。スタジオが地下だったため、木の床材が基礎に設置され、ここにはアイソレーションは不要だった。



音響処理

この部屋には、かなりの音響処理が施されている。ただ、ほとんどは見えないように隠されている。ほとんどの壁と天井の表面は、部屋の内装にマッチしたカスタム・ファブリックで仕上げられている。

部屋の間取りと配置がかなり限られているため、家の他の部分からかけ離れて見える造りには出来なかった。つながりの部分を繕うのにかなり苦心もした。

後方の壁にはパネル膜が埋め込まれていて、部屋の共鳴周波数に合わせてチューニングしてある。幅も高さも壁いっぱいに及び、部屋の下端のエネルギーのバランスをとる役割をしている。膜の前には異なった素材の層がいくつか重なっていて、様々な周波数の音を吸収したり散らしたりできるように設計されている。

石の壁は音の拡散効果があり、ペダルのエフェクターのカスタム・シェルフを支えている。
後部の壁は、ファブリックでカバーされ、(様々な幅の)パイン材のボードで、カスタム・デスクトップと、壁に備え付けたギター・ペダル・シェルフにマッチした仕上げになっている。この後部の壁の上の天井の梁には、ローエンドのトラッピングがあり、吸音素材が詰められファブリックで仕上げられている。

ギター・ペダル・シェルフの後ろのロック・ウォールは、若干ハイエンドの音響拡散をもたらしている。この壁のため、部屋にエネルギーが戻り、「乾く」ことがない。また、ヴィジュアル的にもこの部屋の素材の区切りの効果になっている。

シェルフはホロウ(空洞)にし、ライティングやペダルのためのケーブル類を見えないように隠してある。それぞれのペダルのケーブルをカスタムの長さにし、すべての棚の表面のワイアリングを可能な限りきれいにした。ペダルはすべてスイッチャー経由で動作するようにしてあり、連動しやすく、またバイパスしにくいようになっている。後ろの壁には繋ぐラインがあり、それぞれのシェルフからのインプットとアウトプットを結べるようにしてある。

前部の壁はかなり違っている―吸収と拡散のコンビネーションだ。この壁は深さが約5インチあり、ファブリック・トラック・システムを使ってその場で延ばされた生地で覆われている。天井とサイドウォールはほとんどが吸収素材だが、ここもまたファブリック・トラック・システムを使って生地で覆われている。



作業台

ポールのアウトボード・ギアのコレクションはかなり素晴らしい。私たちは、かなり大きなデスクをデザインし、組み込んだ。幅18フィートトータル96Uのラック・スペースと広い作業スペースのあるデスクだ。
アーティスト・ミックス・サーフィス3台は、特注の木製のデスクトップに埋め込まれている。

デスクトップは後面の壁のパイン材と、ここのためにカスタムで作成したギター・ペダルの壁面シェルフにマッチする仕上げになっている。

デスクトップの下のラックは、これもまた我々のカスタム・ビルドのシンセサイザー・テーブルになっていて、「焼杉板」と言う、焦がしてオイルで仕上げる日本の技法を使っている。3台のアヴィッド・アーティスト・ミックス コントロール・サーフィスは、デスクトップに埋め込まれていて、オイルなめしのレザーの肘掛けで完成している。

最終的に、私たちは、隣接した収納スペースをライヴのリヴァーブ・チェンバー(残響室)として使うことにし、パッチベイ(訳注:昔の電話の交換台みたいな、接続を簡単にする装置)とラインで接続した。アバター・スタジオのスタッフとして働いた頃から、私はライヴのリヴァーブ・チェンバーの音が好きだ。最近は、ほとんど誰もが同じプラグインを持っているが、自分独自のリヴァーブを所有出来るのは素晴らしいことだ。



選択された機器

コンソール/作業台:
The Roots by Tree Audio
Thermionic Culture Fat Bustard
AVID Artist Mix (3台。カスタム・デスクに平らに取り付け済み)

モニター:

Dynaudio, NS10 と Avantones.

アウトボード/ハードウェア/テープ

アウトボード・ギアについては、レコーディングに、それぞれ「不可欠」なものはあるが、、Fairchild 670, Emiマイクプリ(アンプ)とEQ, V76とV72マイクプリがNeveのプリアンプ(1073と1081)とコンプレッサー(2254)の組み合わせの良さは特筆だ。

ポールが沢山のシンセサイザーとドラム・マシンを持っているため、Expert Sleepersがすべてをシンクさせるのに、いい仕事をしている(Chuck ZwickyがExpert Sleepers側のセットアップをし、Phil Abbottが部屋の建設に素晴らしい手助けをしてくれたことを特筆しておく)。

秘密兵器
2台の Studio-88 モジュラー・システム(synthesizers.comより)

チューン・アップ
音響処理のための装置を取り付ける前に、我々は部屋のシェルの周波数応答を計測した。そこから、我々は、建てている最中に、何度か違うタイミングでスイープを走らせた。確かに進めるために。最終的なデザインとチューニングは、耳で行った。

(写真はクリックすると大きく見られます)






(この鹿の絵の壁、以前ポールが自分のインスタにあげてましたね)
(焼杉ですね~)

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【追記】
Expert Sleepersとは:
http://www.expert-sleepers.co.uk/hardware.html

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いやー、この翻訳、やり始めてから何か月かかったんだwww 一年経たなくて良かったわ(爆)
(まあ、その間、a-haのデラックス盤とかのお仕事をしたりしてたんですけども)
建築用語とか、うまく訳せなくて悶えました。しかも、世間に需要があるとは思えない・・・(自虐)
あ、これ読んで嬉しかったら、リアクションでもコメントでも下さったら嬉しいです(苦笑)


激しくどうでもいいんですが、このスタジオの写真、とっても綺麗なので、一時期PCの壁紙にしてました。解像度も高いし、職場のPCとかで「モロ」な写真を壁紙に出来ない環境でこっそり萌えたい人におススメ(笑)


1 件のコメント:

  1. 日本のインテリア系のまとめサイトに「綺麗なホーム・スタジオの写真」として、このスタジオの写真が引用されててびっくりした2016年5月23日未明。

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