18.10.12

Maya Vikインタビュー(2012年7月10日)


☆このインタビューは7月10日、来日時に東京でのものです。このインタビューの文中とは、その後状況がかわり、彼女は8月に Montéeを脱退し、現在ソロで活動しています。サイトにもありますが、円満な脱退とのことです。諸事情により掲載が遅くなり申し訳ありません。



あなたは1980年生まれでまだ32歳なんですね。

M: 「まだ」?うん、そうね(笑)



私来月(8月)で48になるんですよ、だから「まだ」(笑)

M: 48?日本人って若く見えるからわからないよ!

まあ私のことはともかく…とても若いなと思ったの。さて、あなた自身について、まずは音楽的バックグラウンドから伺いますね。最初に影響を受けた音楽は何でしょう?

M: えっと…それはね…プリンス。5歳年上の姉がいるんだけど、姉は音楽好きでね、よくマドンナとかプリンスとかa-haとか(笑)聴いてたの。それで私は彼女にとても影響を受けたんだけど、私の初めてのCDが、姉が買ってくれたプリンスのベスト盤だったの。

最初に好きになったのは、プリンスなんですね?プリンスのどういうところが良かったのかな?ヴォーカル?音楽?それとも…

M: わからないんだけど、彼の曲が、何か、来たの。う~ん。 プリンスが好きなんて、あんまりかっこよくないんだけど…。沢山のミュージシャンがプリンスには影響を受けているよね。なんだかわからないけど、彼にとりつかれちゃったの。音楽的にも、彼自身にも。私は彼のことすごくハンサムだと思って、好きだったんだけど、女友達に「えええっ!やめてよ!何言ってるの!?」って言われたなあ(爆笑) 彼はかっこいいと思うし、ああなりたいなって思ったの。

自分で音楽をやろうと思ったのはいつ?

M: うーんと…。14歳か15歳の時、ギターを買ったの。私はベルゲン郊外のほんとに小さな町の出身で、何もやることがなくて。ロック・クラブがあって、いい感じの連中が集まってつるんでたから、仲間になりたかったの。ギターを始めて、女友達とガールズ・バンドを組んだんだ。昔ながらのガール・グループって感じのね。それから、ギタリストが多すぎるからベースに転向したの。

いつベースに変えたの?

M: 16か15の時だったと思う…多分16かな…。それから、自分の部屋で音楽ばっかり聴いて、どんどん曲を覚えていたの。私たちは自分の楽しみのためにバンドをやってたんだけど、FURIAから、ベースプレイヤーが欲しいんだって声がかかって。

じゃあ、あなたが入る前に、すでにFURIAは…。

M: そう、バンドだったの。ベルゲンでは何度もコンサートをやってた。ベルゲンだけで、だったけど。オリジナル曲もやってたわ。

みんなベルゲンが地元だったんだ。

M: そう。前からお互いに知ってたの。小さい町だから、みんな知り合い。FURIAのメンバーは、私より2~3歳年上だったから、私も彼女たちのことは少し知ってた。でも、バンドに声をかけられた時、私はまだ高校の最後の年だったの。私は、バックパッカーみたいに世界中を旅したいって思っていたの。だから、バンドに入ってオスロに引っ越そうって言われて、「OK!」って答えたの。その時何もすることがなかったし、とにかく旅がしたくて。 だから、バンドに入って、半年ぐらいして、オスロに引っ越して、オスロでレーベルやマネージメントと契約をしたの。

じゃあ、FURIAが最初のバンドみたいなものかな?

M: 最初の、ちゃんとしたバンドね。

ベースやギター以外の楽器も出来るみたいだけど、いつごろから?

M: ギターは最初の楽器だったけど、ギターを始めてもあまり上手にならなくて…私、フルートも吹くの。

フルート?

M: (笑)そう、実は最初の楽器はフルートだったの。9歳ぐらいの頃かな?それから学校のマーチング・バンドに入って、楽譜の読み方とか習って、それが本当の初めての音楽的な経験かも。私のおじいさんは教会のオルガニストだったから、聖歌とかいっぱい弾けて。

ご家族はかなり音楽好きだったんですね?

M: おじいさんはね。でも両親は何も弾けないし、私に影響したのは、姉が一番かな。

さて、FURIAの最後について伺いたいんですけども。

M: 最後?

そう。このアルバム(『ピース・オブ・パラダイス』)をリリースして、ツアーをしたの?

M: いいえ。カリフォルニアでこのアルバムをレコーディングしたんだけど、その前にドラマーが脱退したの。ドイツのEMIと契約したところだったんだけど彼女は個人的な理由でバンドを去ったの。アメリカから戻ってきて、シンガーのStineが結婚したんだけど、妊娠してて、アルバムをリリースした頃には、6ヶ月だったの。

そうなんだ!?

M: だからツアーが出来なくて、コンサートもしなかったの。赤ちゃんがいると、アルバムのプロモーションのツアーは難しいから、しなかったの。

じゃあ、ケンカして解散したとかじゃなくて…

M: 悲惨な解散ってわけじゃなかったの。

自然消滅的な…

M: そう。赤ちゃんが出来たことで、バンドに100%集中するのが難しくなって、それでね。誰でもわかると思うけど。

では、今のバンドMontéeについて。かなり成功していますよね。でも、あなたは今ソロをやっているわけで…もちろん解散したわけじゃなくて…

M: もちろん。ホコンとマリウスは、Montéeのドラマーとキーボードプレイヤーなの。それにサウンド・エンジニアはMontéeのサウンド・エンジニアだから、2人足りないだけなのよ(笑)

じゃあ、バンドは今お休みっていうことかな?

M: ううん、実は今サード・アルバムの製作中なの。自分たちのスタジオがあるから、作業も楽だしソロみたいな個人的なものも作りやすいの。Montéeのシンガーは、別のバンドもやっていて、そっちでもツアーをしているし、マリウスとホコンはセッション・ミュージシャンみたいなこともしているし。みんなバリバリやってるわ。今は活動の時期だから、私のソロでのスタジオ入りも、同時にやりやすいの。

じゃあ、ソロとMontéeの両立が大変なんていうことはないわけだ?

M: 全然。今年はMontéeではツアーはあんまりないしアルバムをリリースしたのは去年だし。ノルウェーで2つほどフェスに出て、ドイツとデンマークでライヴをしたんだけど、他はスタジオ・ワークばっかりで、あんまり良くないんだ。彼ら、私が今ジャパン・ツアーしてるんで嫉妬してるのよ。次はMontéeで来日したいな。

日本にもフェスはいっぱいあるし、いいかも。a-haの最後の来日もフェス出演だったんだよ。

M: そうなんだ。じゃ、来年!

あなた自身、今はソロとバンドとどっちがやりたい気分なのかな?それとも他にやりたいことがあったりする?

M: ソロもバンドも両方やりたい。でも、ソロのほうが楽しいかな…だって…ソロは自分自身のものだから(笑)両方やって、最終的にうまいことミックス出来たらいいな。どっちもすごく違うから。ソロのステージでは私が自分でしゃべらなきゃいけないし。違うけど、楽しい。

違う楽しみね。

M: そう。Montéeでは、何年も一緒にやってるし、守られてるって感じで安心していられるの。曲もわかっている曲ばかりだし。ソロだとステージでやったことない新しい曲だったりするし…でも、「作っている途中」っていう感じ。Montéeは、結成して4年ぐらいかな。


さて…ちょっとポールの話を聞きたいんですけど。

M: ふふ(笑)

(笑)ええ、…まず、このアルバム(『ピース・オブ・パラダイス』/FURIA)でポールが歌っているのは知っていたんですけど、どうして彼が参加することになったのでしょう?誰か彼と個人的に知り合いだったとか?

M: そうそう、私が。

あなたが?このアルバムの前に?

M: そう。だって、アルバムSavoyは、これより前にレコーディングされてたから。

そうなんだ。

M: 同じ年だったかもしれないけどね。

でも、そのアルバムのクレジットにあなたの名前はないですよ?昨夜もう一度チェックしなおしたけど。

M: 私はそこでは演奏してないから。

じゃあ、何をしたんですか?

M: 私はツアーで演奏したの。ライヴミュージシャンとして。

どうやってSavoyのツアーに参加することに?

M: 実はね、ポールが私に電話してきたの。FURIAでツアーがない時に、彼から「どうも、ポール・ワークター=サヴォイですけど」って電話があって。

じゃあ、彼はあなたのこと知っていたんだ?

M: いいえ、お互い知らなかったの。

じゃあ、どうにかして電話してきたんだね。

M: そう。で、ポールとローレンの家に行って、何曲か一緒に演奏してみて…

あなたのステージを見たのかも?

M: ドラマーのFrodeが、やっぱりベルゲン出身で、一度FURIAを見たことあったの。ショーに来たのよ。だから、Frodeから私のことを聞いて電話してきたんじゃないかなあ。
ショーを一度…フェスを二つほど。ノルウェーのオイフェスティヴァルのあとでツアー。楽しかったな。彼はいい人だしローレンもだし素晴らしいバンドだったし。

Savoyと演奏する前に、a-haは勿論知っていたわけだし、Savoyも聴いたことありましたよね?

M: ええ、ええ。

だから、直接会ったことはなくても、彼の作品を通して彼のことは知っていたわけですよね。実際会う前には、彼や、彼の音楽に対してどう思っていましたか?

M: ノルウェーでは、ポールは…もちろんa-haで有名なんだけど、彼は作曲家として、素晴らしいソングライターとして皆に尊敬されているわ。だから、彼から電話があったとき「私のこと、からかってる?」って思っちゃった。もちろん一緒に演奏をしてみたかったけど、ものすごく緊張しちゃって…。でも…彼はすごくいい人で…、ほら、彼はとっても足に地がついたタイプの人で、ローレンも一緒で…ぴったりきたの。 うん。彼はノルウェーでは大物だし、最初はすごく緊張したの。どんな人だかわからなかったから。だけど、彼は素晴らしい人だった。

参加する以前にSavoyのライヴは見たことありました?

M: いいえ。参加するまで見たことなかったの。でも、曲はいっぱい聴いていたし、ファースト・アルバム(『メアリー・イズ・カミング』)も持っているし、いっぱい好きな曲があるの。若い頃に聞いていた曲を、メンバーと同じステージで演奏するなんて、なんだか変な感じだったなあ。

そうですねえ。あなたは若いし、彼はちょっと若いお父さんみたいな感じだったんじゃないかと(笑)

M: そうそう(笑) ファミリーのツアーっていう感じだった。彼らの息子のオーギーも一緒だったしね。FURIAのツアーだと、演奏が終わったら、よくみんなで飲みに行ったんだけど、Savoyだと「OK、じゃあ、おやすみ…また明日の朝ね!」 って感じだった。とっても静かなツアーで、良かったな。

なるほど。じゃあ、彼が『ピース・オブ・パラダイス』(アルバム)に参加したいきさつは…?

M: 私が彼にメールをしたの、私たち、あの曲をデュエットにしたいって思って。

あなたが声をかけたんだ?

M: そう。この曲やりたくないですかって。彼に曲を送ったら、本当に気に入ってくれて。で、彼は住んでるニューヨークで録音して、私たちはカリフォルニアにいたから、また送り返して。何度かやりとりして、歌詞も何度か変えて…いいものになったわ。

ええ、すごく素敵なデュエットです。

M: あの時点で、FURIAって、彼がこんなふうにコラボレーションした、唯一のバンドじゃないかと思うの。有難いなあ。

みんな、「ポールがヴォーカルだけなんてすごい贅沢」って言ってますよ(笑)

M: そう、ヴォーカルだけ。だけど、ギター弾いてくれとか曲書いてくれとか言われるより良かったみたいだった。

私自身、ポールはいいシンガーだと思っています。モートン・ハルケットや、他のシンガーとは全然違うものがあって。だから、この曲に参加しくれて良かった。FURIAのほかの曲も気に入っているけど、でもこのデュエットはすごくいい。だから、彼がここで歌っている理由を知りたかったの。あなたが声をかけたとは知らなかったな。

M: この曲は、最終的に凄くいいものになったと思う。それに、彼は、自分が気に入らなかったら参加してくれなかったはず。だって彼は自分でいいと思うものしかやらない人間だと思うから。

Savoyは、今活動停止しているみたいですが、もし、ポールから、またツアーに一緒に来て欲しいみたいなお誘いがあったらどうします?

M: もちろん、参加する。また一緒に演奏したいし…今は忙しいけど(笑)、でも時間を作ってでも。素晴らしいバンドだし、音楽的にも大好きだし、参加して、日本に来るの!

そうなったら、ポールとローレンは新宿あたりに詳しいみたいだから(笑)

M: そうなんだ!?それはいいな。色々教えてもらおうっと。



今回の来日は、あなたのソロ活動で初のノルウェー国外でのステージですか?

M: ドイツで一度ショーをやったけど、ノルウェー国外のツアーは初めてよ。

日本で成功したい?

M: もちろん。そうじゃなかったら、ここにいないって。でも、いろんな国に行くのは好きなの。また日本にすぐ戻って来たいな。今回ファースト・アルバムのプロモーションだから、10月に新しいアルバムも出るし、フレーク・レコードが何か考えてくれるんじゃないかなあ。

もう次のシングルが用意出来てるみたいですね?

M: うん。それに日本はクールな国で何度でも来たいな…

日本の人は北欧の人や音楽に親しみを感じていて、北欧らしいメランコリックで綺麗なメロディにも共感するの。だけど、あなたの国からはまだあんまり沢山のミュージシャンは知られていなくて、ノルウェーのミュージシャンっていうとa-haしか知らないっていう人も多いみたい。

M: ベルゲンからは、エモとかダウナー系の…メロウな音楽をやってるバンドがいっぱい出てきてるの。a-haはいつでもノルウェー最大のバンドで、今でもそうだけど、でももう彼らは解散してしまったし、ノルウェーからは新しい、いいバンドがどんどん出てきてる。沢山のアーティストや、シンガー・ソングライターたちも、ドイツみたいな他の場所でも活躍してる。レベルはどんどん高くなってきていると思う。

いいシンガーもバンドもノルウェーにはいっぱいいますよね、インターネットラジオでよく聴くから知ってます。

M: それに、ノルウェーのミュージシャンが沢山来日したがってるし、したバンドも知ってる。違うマーケットだし私たちにはエキサイティングな場所なの。

今日は話を聞かせてくれてありがとう。

M: こちらこそありがとう。

http://www.youtube.com/watch?v=q7DOcb_JdFA
このMVが、来日時東京で撮影したものです。
監督さんは、なんと a-haのSummer Moved OnのMVの時アシスタントをしていた方だそうです☆